Steamworks ドキュメンテーション
研究ノート:調査事項とその理由
これはSteamworksブログポスト「データディープダイブ:Steamにおける新規リリースの販売成績」に関する研究ノートおよび詳細です。



今後の方法論を決定する前に、新規リリースの健全性を調査する上で、いくつかの異なる方法を検討しました。 検討内容は以下の通りです。

すべてのゲームではなく新規リリース

この投稿では、最近ゲームをリリースした開発者や、これからゲームをリリースしようとしている開発者の疑問に答えるために、新規のリリースに焦点を当てました。 統計にバックカタログゲームのデータを含めても、関連性があまりないからです。

平均収益ではなく収益の中央値

多大な収益を上げているゲームは平均収益に大きな影響を与える可能性があり、そうしたゲームは、ほとんどの開発者の予算と現実を反映していません。 平均値ではなく中央値を使用することで、これらの外れ値の影響が減少し、一般的なゲームの販売成績をより適切に示すことができました。 また、Steam上のゲームの健全性をより広く把握するために、中央値(第50百分位数)以外の百分位についても調べました。

年間の総収益ではなく初期収益

各年において、リリースされたゲームを公平に評価するために、一定期間の初期収益を調査することにしました。 年間の総収益を使用すると、年始にリリースされたゲームには12か月分の収益がある一方、年末にリリースされたゲームには収益を得る時間がほとんどなくなることになります。

初動売上は多くの開発者にとって重要な指標となるため、主な分析には最初の2週間の収益を使用することにしました。 手法の裏付けと、選択期間によって結果が影響されないことを確認するために、他の期間(30日、60日など)でも分析を行いました。 (期間による影響はありませんでした。)

ゲーム以外のコンテンツを除外

ゲーム以外のすべてのアプリを除外しました。ゲーム以外のソフトウェア、動画、コミック、サウンドトラック、体験版などの非ゲームコンテンツは含まれていません。 DLCの収益は、ベースゲームのリリース日から2週間以内の収益のみを、ベースゲームに追加しました。

分布分析における2019年と2018年の比較

当初、ゲームの中央値および他の百分位の変化を調べるために、2019年を過去のすべての年と比較することも検討しましたが、異なるポリシー間における同じ百分位の比較は意味がないことにすぐに気が付きました。Steamにおけるゲームの配信が、リリースポリシー間で大きく変化してきたために、あるポリシーの下での中央値ゲーム(または25番目の百分位数のゲームやその他の百分位)が、別のポリシーの下での中央値ゲームとは全く別物になってしまうためです。

これを回避するために、同様の機能を持ち、同様の言語をサポートしているゲームの比較のような、リリース時期にとらわれない他の方法も試しました。 しかし、比較しようとするゲームを見てみると、やはり異なる条件下での比較になってしまいました。 その理由として、多くの機能の人気が変化したこと、機能の実装が以前より簡単になったこと、Steamの市場の国際化が進むにつれ、複数の言語をサポートするゲームの数が爆発的に増加したことが挙げられます。

最終的に、Steam Direct以降の変化を比較することが、最も正確な方法だという結論に至りました。 Steam Directの導入後、丸1年の期間があった最初の年が2018年だったことから、2019年と2018年を比較しました。

新作の販売成績の経時的な変化を評価する他の方法

メインの投稿で、新規リリースのデータを様々な切り口で分析する方法を検討したことに言及しました。 他の収益ベンチマークの傾向について興味がある方のために、ここで紹介しておきます。

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14日以外の初動売上期間、および他の成功しきい値も分析しました。 いずれの場合も、同様の傾向が見られ、2019年に成功を収めたゲームの数は、過去のどの年と比較しても増加しています。 一例として、最初の30日間の収益が1万ドル以上のゲーム数のグラフがこちらです。

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